おかえり、劇場。
おかえり、演劇。
東京でじわじわと感染者数が増えている中、本当にやるのか?本当に行けるのか?ずっと不安でした。
こんなに直前でわくわくできない現場は、あの3月のスマホ~とSHOCK以来かな。
というか、現場自体がそれ以来なんだけど。
あのSHOCK中止の瞬間からこれまで、ずっと苦しかった。
この状況の中、いつ公演が無くなるかわからないってことを、身をもって知ったのがあのSHOCKだったから。
初日、幕が上がったと分かって少しホッとしたものの、もう次の日の幕は上がらないんじゃないかしら、なんて心配をして。
もしかしたら、私が新幹線で移動しているこの瞬間に、中止になってしまうかもしれない。
そんな不安をずっと抱きながら、執拗に手洗いとアルコール消毒をして、無事に東京へ踏み入ることができました。
よみうり大手町ホールの入口。
体温を測り、アルコール消毒をして、靴の裏も2種類のマットで拭き取り。スタッフの方もフェイスシールドにマスクという徹底ぶり。マスクはめちゃくちゃ息苦しいし、フェイスシールドの視界は悪いということを知っているので、そこまで徹底して劇場を開けてくれているということに、なんだか胸がいっぱいになった。
チケットの半券を自分でもぎり、回収された瞬間、泣きそうだった。
私の手元には、半券が回収されぬまま過去になってしまったチケットがまだたくさんある。
ミシン目がぴーんと、きれいなままの、2020年4月のチケット。
ちゃんともぎられて、半券になったチケットを見て、ああ、やっと入場できた、と嬉しくなった。
1席おきにカバーが掛けられた座席と、マスク率100%で静かに開演を待つ観客の姿に、もう今まで通りの超満員の、観客の期待にざわざわした劇場は戻ってこないのかなぁと一瞬しんみりしてしまったけど。
それでも、演劇が、エンターテインメントが戻ってきたことは確か。それがすごくすごく嬉しかったです。
前置きが長くなってしまったけど、
『日本文学の旅』
の感想を残しておきたいと思います。
音楽朗読劇、しかも日本文学が題材とあって、これは知識が無いと面白くない舞台かもしれないなぁと思ってしまいました。エンターテインメントを楽しむためには、それなりの教養が必要なのね、なんて深いことを考えてみたりして。
日本の義務教育を通っていれば必ず学んできた有名文学たち。
それが、橋本良亮の甘く柔らかい声と新納さんのよく響く力強い声で語られるのは、とても贅沢な気分になれました。
まず驚いたのは、はっしーの声色の豊かさ。あんなに太く響く声の出し方してたっけ?
司書としての台詞は深く響く声。
源氏の君を演じる時は甘ったるく優しい声。
物語ごとの表現があまりにも多彩で、そんな表現を今まで見たことがなかったから、橋本良亮進化してるな!!!って思いました。
新納さんの表現も多彩で、源氏物語を読む時なんかは一体何役演じるの!?ってくらいだったし、さすがの超ダンディボイスだったので、はっしーはこの舞台で新納さんの影響もめちゃくちゃ受けてるんだろうなぁって思ったよ。
かの有名な色男・光源氏を橋本良亮が演じるって!!!!!!!!!!すごい!!!!!!!!!!!!!
光源氏って相当なクズ男だと思うんだけど(おい)、あの時代のやわらかな口調と雅な雰囲気と、はっしーの甘ったるく絡みつくような柔らかい声がものすごくマッチしていてすごく良かった…
はっしーってなんでああいうクズ男みたいな役がハマるんだろう。←
枕草子は、あの有名な部分の春と秋を新納さん、夏と冬をはっしーが読んだんですけど…
ま~~~~~解釈通り!!!!!!ありがとう!!!!!!!!夏ははっしー!!!!!!!!!!!!!!
はっしーの「夏は夜」すごい良かったなぁ…じめじめした蒸し暑い夏の夜じゃなくて、昼間の暑さがすーっと引いた、静かな風の吹く夏の夜の空気がそこに流れたような気がしました。
A.B.C-Zとしてバラードを歌う時にも思うけど、はっしーの声って切ないよね。切ないけど真っ直ぐ強い。そのアンバランスさが不思議で、魅力的なんだろうなと思います。
そして、百人一首の句。
その後の芭蕉の句もそうだけど、あの句と作者を記憶するのって大変だよね……リズムが一定で、その上現代の言葉じゃない文字の羅列を一字一句間違えずに覚えるのって、相当難しい。学生時代、百人一首覚えるの苦労したんだよ私……←
新納さんとの掛け合いでぽんぽんと句を言い合う姿に、「頑張って覚えたね…!!」と保護者の気持ちになりました。笑
いや、台詞覚えるのが仕事だろって。はっしーも立派な大人なんだよ!!!!!見くびるなよお前!!!!!!!(誰)
でも、その掛け合いがとても楽しそうで、文学好きの二人がきゃっきゃと文学で遊んでいるんだなと思ったらほっこりしました。高次元の遊び。
ある図書館の司書とそこに通う読書家という関係だけど、ただの『本が好きな者同士』という友達みたいな関係性なのかな、と感じました。
思ったよりも堅苦しく感じなかったのは、この二人の空気が楽しそうで柔らかかったからかな。
冒頭で、図書館の蔵書を全て記憶しているとか言う司書に対して「人間には無理だ」なんて言っていたので、『あれ!?もしかして司書って人間じゃない設定?そんな裏ある!?』なんて思ってしまってゴメンナサイ。すぐ橋本良亮を普通じゃない役にしたがる。人間でした。多分。
作品に合わせて奏でられる音楽も、耳に心地よかった。テーマなのかな?繰り返し奏でられていた民族調っぽい曲が、照明やセットの雰囲気と合わさって不思議な空気感を演出していて、文学の世界に誘われている、そんな気持ちになりました。あ、思い出した。NHKの某歴史番組のオープニングと雰囲気が似てるんだな。
ただ、万葉集の時のあの歌、最初全然別の言語の音楽だと思ってしまってな…古語って難しいな……←
はっしーと新納さんは歌わないのかな?っとわくわくしながら見てたんですが、ちょこちょこ歌ってましたね!!!!!!
リズムに乗る時の手の叩き方とか、手をグーにしてフリフリするのとか(伝われ)、いつものりょうすけくん(5)って感じで大変にかわいいでした。ありがとうございます。
あとは、ソーシャルディスタンスを保つために、ちょっとでも近づこうものならTT兄弟になってたの本当にかわいいだったな。
Twitterで「TT兄弟みたいでかわいかったー!」っての見てて、いや日本文学という硬めなストーリーの中でそんなwwwって思ってたんだけど、想像よりもずっとTT兄弟でした。かわいい。はっしーは弟。
終始かわいいだったけど、舞台上で深々と頭を下げ、盛大な拍手を浴びるはっしーに、あぁ、大きいなぁ、この人はジャニーズの先陣を切って板の上に戻ってきたんだなぁと、泣きそうになりました。
最後にもうひとつ。
新納さんが台詞の中で「この世界から芝居は絶対になくならない!」(ニュアンスですが…)と言い放つんですが、その言葉があまりにも強くて揺るがなくて、ああこれは芝居としての台詞じゃなく新納さんの本心から出ている言葉なんだなと、心にぐっときました。
どうかまた、芝居というエンターテインメントを何の心配もなく楽しめる日常が戻ってきますように。