2024.03.16.Sut.
『緑に満ちる夜は長く…』@新国立劇場
観劇して参りました。
よかった。めちゃくちゃによかった。
この舞台を見て、戸塚さんて死のにおいがする所というか、複雑な人間の感情が渦巻く場所に存在するのが似合うなぁと思いました。
そういう会話劇的な舞台が多いからなのかもしれないけど。
はっしーとは別ベクトルで、陰が似合う人。
ユウの抱える「ハンデ」は、どうしても自分が直接関わることの多い子どもたちに重なってしまった。
緑川家はそんなユウを否定することなく接していて、愛情深くて素敵だなぁなんて呑気に見ていたのだけど…
「腫れ物扱い」「みそっかす」
そんな風にユウが感じていたことにハッとさせられる。
それぞれが愛情深くて、家族が大好きで大切で、自分を犠牲にしても相手を想う。
だからこそ、少しずつすれ違っていく。
僅かな歪みは年を追うごとに膨らんで、積もって、固い雪になって…。
ユウが頑なに父親を受け入れられなかった気持ちも、母親への愛。
好きだから、大切だからこそ、許せないことってあるから。
みんなが本音を語り始めて、じわじわと雪解けの気配が見え始めた時、涙が次々溢れて止まりませんでした。
そしてその雪解けを、母アキナさんがまるで春を告げる妖精のように少しずつ雪をはらい落としてゆくことで表現されていたのがすごく好きでした。
言葉にしなければ伝わらない。
一番身近な家族こそ。ちゃんと言葉にしなくては、と考えさせられました。
笑えるからこそ、涙が止まらないお芝居でした。
ラストシーンは、緑川家が特別じゃなくて、どこにでもある普通の家族なんだってことに気付かされました。
終わってから、いろんな感情がぐるぐるしてぼーっとしちゃったな。
素敵な物語をありがとうございました。
ユウくんが、緑川家のみなさんが、愛おしくて仕方ありません。