きまぐれにっき

きまぐれに生きていきたいヲタクのブログ

写真が撮りたい

 

 

 

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見てきました。

「浅田家!」。

 

 

心温まる、家族のはなし。

見終わってすぐに、あぁ、写真撮りたいな、と思いました。

 

 

少しだけ、感想を。

 

 

 

まず、二宮和也がこの、浅田政志さんを演じたこと。

これはすごいハマり役だな、と唸ってしまった。

 

「人たらし」ゆえの、ゆるさもだらしなさも全て愛される要素になってしまう人間的な魅力。

あの空気は、演技で出そうとしてもなかなか出るものではないんだろうなと思います。

パンフレットやいろいろな雑誌で散々語られているように、二宮和也が演じるからこそ、の空気感。

 

所々で印象に残るシーンがたくさんあるのだけど、特に好きだなぁと思ったのは、パチンコから出てきてタバコに火をつけるシーン。

きっと本編の中では何気ないシーンだけど、あまりにもナチュラルでびっくりしたの。

タバコに火をつけようとして、長い髪に火が移りそうになったのか、あちっ!て感じで顔を顰めて。国民的アイドルとは思えない、清潔感のカケラも無いビジュアルだけど(笑)それでも確かにあれは政志の姿で。役者・二宮和也すごいなって、思いました。

 

そして、浅田家の家族感。

優しいお父さんにチャーミングなお母さん、弟に振り回されながらもなんだかんだで優しいお兄さん。

4人の空気がすごく自然な家族で、兄弟2人のシーンは特に、好きだなぁと思いました。

遠慮なくなんでも言えて、共通の思い出があって。政志が東京に行くと言った時の、お兄さんの表情と声色がなんとも言えなくて好きでした。

 

若奈ちゃんが、発売されたばかりの写真集を手に取るシーンは、なんだか、ずっと応援していた人がやっと報われた!みたいな。そんなじわじわと嬉しくて、今にも踊り出してしまいそうなワクワクした感情が溢れていて、華ちゃんすごいなって思いました。

写真集が並んでいるのを見て、恐る恐る手に取るあの感じ。

感動がぐわあっと上の方に上がってきて思わず笑みが溢れてしまうあの感じ!わかるなぁ。

随所に現れる、政志に呆れたような、それでいてああ結局この子はこの人のことが大好きなんだろうなって分かる話し方とか。

こんな素敵な幼馴染がいる政志は前世でどんな徳を積んだのかしらとか思っちゃった。

 

 

「ただの家族写真」。

そうかもしれない。だけど、家族写真って、その家族にとってはとても大切な1枚になる。

 

浅田さんの撮る家族写真は、そんな特別な1枚を、さらに特別なものに仕上げてくれるんだろうなぁと思います。

そのご家族の個性を、本当に素敵に演出してくれる写真家さんなんだろうな、と。

 

虹のTシャツの家族を撮るとき。

政志の零した大粒の涙が、とても印象的でした。

パンフレットで語られていて、二宮和也って本当に天才なんだなって思ったんだけど…

あの瞬間の涙は、政志の中のいろいろな感情が混ざって込み上げてしまった涙なのかな、と、そんな印象を受けました。

飄々としているようで、やっぱりそこは芸術家らしく感情豊かで、人間らしい人だなぁ、と。

 

 

劇中では、3月11日の震災についても描かれています。

テレビを見て、若奈ちゃんとの電話を「かけ直すわ…」と放心状態で切るその表情がとてもリアルで。

ああ、そう。あの時、そんな感じだったな。もう現実に起こっていることとは思えない、そんな感じで。放心してしまうような。あまりにも衝撃的な映像。

あの津波の映像を見て、遠く離れた地に住んでいる私でも胸がぎゅうっと苦しくなりました。

 

写真返却のボランティアをしている人がいらっしゃったという事実も、今回の映画で知りました。

きっと、あの時、あの場所では、私の知らないことがたくさん起こっていた。

テレビで大きく報道されなくても、今も人のために動いている方々がたくさんいらっしゃるのだろうなと、気付きました。

そして、そういったボランティアの方々が、心ない言葉で傷ついていたこともきっと1度や2度では無いのでしょう。

あの時何もできなかった、いや、しなかった自分が何かを言うのは違う気がするけど。

ただ、すごいな、と。私にできるだろうか、と。

何万枚という写真を一枚一枚丁寧に洗浄し、並べているシーンを見ながら考えていました。

 

内海家のエピソードはフィクションだそうですが、私は、政志がお父さんの時計をよく見えるようにカメラを構えたところで、映画館だということを忘れて声を出しそうになるくらい泣きました。あの演出は、ずるいなぁ。

それに、「今日時計忘れちゃったから、貸して」なんて言って借りるあたり、「人たらし」感が出まくりです。

 

政志だから、撮れた1枚。

政志じゃないと、撮れない1枚。

だからこそ、浅田政志は写真家なんだろうし、彼に家族写真を頼みたいという人がいるんだろうなと思います。

 

いいなぁ、うちの家族写真も、撮ってもらいたいなぁ。

 

 

 

そして、やっぱり触れておきたい、役者・二宮和也のすごさについて。

 

10代から40代まで、あんなに違和感なく演じられるものなんでしょうか。

年齢不詳すぎる。

そして、三重弁の自然さ。

以前の、母と暮らせばの長崎弁の時にも思ったけど、にのって柔らかい方言似合う。

「〜しやん」とか「わかっとる」とか、三重弁って私の中ではなんとなく柔らかいイメージがあって。

私は祖母がバリバリの名古屋弁なんですが、やっぱりお隣の県だけあってちょっと似てるところもあって、勝手にテンション上がってました。

違和感なく聴けてすごいなと思った。役者さんてすごいな。

 

左利きのはずなのに、箸もペンも違和感なく右で持つしさ。

 

私には、お芝居の上手い下手を語れるような知識は無いんですけど、それでもやっぱり、にのってすごいなって思う。

それは周りの評価がすごいからとか、いろんな賞を獲ってるからとかじゃなくて、あまりにも自然にお芝居に惹き込まれてしまうなと思うから。

自分の感情から出た言葉じゃない「台詞」を、その役の感情から出た言葉として発するというのは、ものすごい技術なんだなと思うわけです。

だから、にのに限らずだけど、役者さんって本当にすごい。中でもにのはすごい。

それを、改めて感じた映画でした。

 

 

 

 

私も、写真が好きです。

今は自分で買った一眼で、いろんなものを撮っているけど。

昔はやっぱり、父がフィルムカメラやデジカメで私や妹の写真を撮ってくれていて。

そしてそんな写真を母が全部アルバムにまとめてくれていて。

 

写真って、見返すといつでもその時に戻れるような気がする。

今でも、何気なく撮ったスマホの写真を見返すだけでも楽しかったり。

 

最近は、中々家族で写真を撮るなんてことはなくて、年に1度、お正月に撮るくらい。

だけど、何気ない写真でもいいから、たくさん撮っておきたいな、と、この映画を見て思いました。

家族の思い出は、できるだけ、残しておきたい。

 

たかが、家族写真。

されど、家族写真。

 

 

とりあえず、今度の両親の結婚記念日には、ちゃんとふたりの写真を撮っておこうかな、なんて思っています。