塚ちゃんを存分に浴びた翌日は、六本木にて日本の伝統文化を浴びて参りました。
『六本木歌舞伎2022 青砥稿花紅彩画よりハナゾチル』
歌舞伎のかの字も知らない私ですら知っている、かの有名な「知らざあ言って聞かせやしょう」のやつですね。
知ってるけど、見るのは初めて。
戦隊モノの元になったのはこれだとか、弁天小僧菊之助が花形だとか、なんかそんなフワッとした知識しか持ち合わせぬまま来てしまいましたが、結論から言うとめちゃくちゃ面白かったです。
いやたまらん。白浪五人男が1人ずつ名乗りを上げるところとか、ひゃ〜〜〜!ってなっちゃったもん。
とっつーが出演しなかったらきっと観る機会は無かったかもしれないなと思うと、今回とっつーを出演させてくださったことひたすら感謝の気持ちです…歌舞伎がこんなに面白くてワクワクするものだなんて!
海老蔵さんの歌舞伎は、以前あべちゃんだてさまが出演した作品を観たのが初めてで、それ以来。
あの時も確かに面白かったんだけど、途中の台詞とか展開とかがどうも分からなくて、必死で台詞を追って理解しようとしていたのでちょっと疲れちゃったというか。面白かったんだよ!面白かったんだけど!(これは声を大にして言っておきたい)
あべちゃんもだてさまもキリッと凛々しくて素敵だったんだけど、どうしたってプロの中に素人が混じる訳で。その違和感もあった。
今回も正直、そんな感じなんだろうなと期待はしていなくて。(すごく失礼なことを言っているのは承知の上)
それに、とっつーがタイムスリップする役だと知って、あら、そういう感じですか、とちょっと期待値も下がってしまっていました。
ところがどっこい。
蓋を開けてみれば、お話が現代からのスタートだったことによってものすごく入り込みやすかったし、とっつーの見せ場も最初から盛り盛りでめちゃくちゃテンション上がった。
ついでに言うと、私の席が花道の正面で、とっつーのみならず皆さん出入りなさるのでど迫力で「近っ!?!?」ってテンション上がってたのもちょっとあります。超下手じゃん〜〜〜と嘆いてた過去の自分はぶん殴っておきました。
それになんかずっといい匂いしてたな。
目の前にバッ!と登場したとっつーが、舞台の上を華麗に駆け回る。バク転、ジャンプ、ターン…どれを取ってもひとつひとつの動きが美しいので、アクションシーンではあるんだけど、優雅な所作で美しさを感じました。
現代の殺陣と歌舞伎の殺陣って全然違うけど、とっつーの優雅な動きは少し歌舞伎に通じるものもあって、世界観が似てるのかな、と。
そして、タイムスリップ、という手法を取ることによって、プロの中に放り込まれる素人感も演出の一部になっていたように思います。
もしかしたら歌舞伎ファンの方には違和感しか無かったのかもしれないけど、少なくとも私はとっつーの「異物感」さえ楽しめた。
後半にとっつーも歌舞伎の所作をするのだけど、元々の踊り方も背筋が伸びた美しい姿勢だし、きっと手本となる人の動きを捉えるのが巧い人だと思うので、お稽古の中でもいろんな役者さんの所作を見て学んだんだろうなと感じる所作でした。本当にすごい人だ。
物語は、現代の弁天小僧を名乗る盗人戸塚が、不思議な声に誘われて江戸へ。
タイムリープ、美しい男の女装、巧妙に仕組まれた詐欺、実は取り違え子という展開、そして最後はアクションシーン。
とても分かりやすくて、くすっと笑えるアドリブも効いていて、初心者でもめちゃくちゃ楽しめました。
特撮大好き、王道展開大好き、強い主人公大好き!な私にはざくざく刺さりまくる展開で、日本人は昔からこんな面白い演劇をやっていたのか!と感動した。きっとこれを面白いと思うのは、日本人のDNAに刻まれてる感覚なんじゃないかと思う。(おおげさ)
昔の人だってきっと、推しを見つけて劇場に足繁く通っていたに違いない。
だってこんなに面白いエンターテインメントがあるんだから。
今回とっつーが出演しなかったら、こんなに歌舞伎が面白いものだということを知らないままだったかもしれない。
海老蔵さんはじめ、いろいろな方が歌舞伎を若い人たちにも広めようといろいろな手法でアレンジしてくださっているけれど、やっぱり歌舞伎だけじゃなくて演劇自体、経験したことの無い人にとっては敷居の高いもののような気がするのです。
私はA.B.C-Zに出会って、演劇というエンタメの面白さを知ることができたけど、やっぱりそういう機会のない私の周りの人は、演劇って日常には無いものなんじゃないかと思うので。
まぁチケットも高いし、有名なのは簡単に取れないしね。
それでもやっぱり、日本にはこんなに素晴らしい歌舞伎という伝統のエンタメがあるんだよということを、もっといろんな人に知って欲しいなという気持ちになりました。
日本の文化は素晴らしいなと、改めて。
無事に千穐楽を迎えられますよう、祈っています。